赤ワインについて
こんにちは、弘邦医院の林です。 今日の診療は平常通り、午前・午後です。 さて、本日のテーマは「赤ワイン」です。 若い女性を中心にブームになっていたことを覚えている人もおられるでしょう。かつてはクリスマスのレストランでは赤ワインで乾杯するカップルが結構いたように思います。中高年の男性のなかには若い女性をレストランに誘い、飲みなれない赤ワインを付き合わされて閉口したという方もおられるかもしれません。 ではなぜ赤ワインがブームになったのでしょうか? それは赤ワインが動脈硬化予防になると話題になったからです。フランス人はバターや肉といった動物性脂肪をたくさん摂っているのに心筋梗塞などの心臓病による死亡率はヨーロッパで最も低い。それはフランス人が赤ワイン好きで、ポリフェノールが豊富な赤ワインが悪玉LDLの酸化を邪魔して動脈硬化を防いでいるからだと聞かされたからです。 しかし、賢い人なら「ちょっと待てよ。日本人はフランス人並みに心臓病になる人が多かったっけ?」と考えるはずです。いや考えるべきでした。そうすれば、赤ワインが動脈硬化予防に役立つのが本当であったと
カテキンについて
こんにちは、弘邦医院の林です。 今日の診療は平常通り、午前・午後です。 さて、本日のテーマは「カテキン」です。 健康に関心のある人ならお茶に含まれる苦み成分であるカテキンの効果をご存じでしょう。 ポリフェノールの一種で、体に良いとされています。その効果のひとつが抗酸化作用です。 活性酸素が人体の組織を攻撃するのを防ぎ、その力はビタミンCやビタミンEの数倍から数十倍あるなどと言われています。抗ウイルス効果、コレステロールを下げる効果、血糖を下げる効果、殺菌効果などもあると言われています。がんリスクも下げるという話もあって、緑茶の生産地として有名な静岡県のある地域では、胃がんにより死亡率が全国平均の5分の1ほど低いとの報告もなされています。 ただし、昔から「緑茶は心筋梗塞や脳卒中の発症リスクを抑える」という話がありますが、最近は正しいとはいえないようです。国立がん研究センターなどが参加したコホート研究は、血中のカテキン濃度と心筋梗塞や脳卒中とは関係ないとしています。 とはいえ、緑茶に含まれるカテキンが身体にいいことは確かです。どんな飲み方をすればいい
ゲノム医療について
こんにちは、弘邦医院の林です。 今日の診療は平常通り、午前・午後です。 さて、本日のテーマは「ゲノム医療」です。 初めて耳にした人もおられると思います。ゲノムとは遺伝子とすべてと言う言葉を合体させた造語で、DNAに含まれる遺伝子情報全体を指す言葉です。ゲノム医療は患者さんのがん細胞の遺伝子を網羅的に調べて、その結果をもとに患者さんに合った診断・治療法を効率的に行う医療のことです。 朝日新聞によると、「ゲノム医療」を探るための遺伝子検査システムの製造販売が近く承認されることが決まったそうです。しかも、来春には公的医療保険が適用される見通しです。 では、この遺伝子検査システムが導入されると一体がん治療はどのように変わるのでしょか? がんとは遺伝子の病気です。どこかの遺伝子が変異することで、正常とは違うたんぱく質が作られて、際限なく自己増殖していくがん細胞が生まれます。そこで新たに承認される遺伝子検査システムはがん細胞の遺伝子を1度に100種類以上調べて、どの遺伝子に変異が起きているかを分析。患者さんのがん細胞に適した薬を選ぶというものです。 最初は固
感染症状況について
こんにちは、弘邦医院の林です。 今日の診療は平常通り、午前・午後です。 さて、今週も感染症状況(49週=12月3日~12月9日)からスタートです。 まずは、インフルエンザをみてみましょう。 厚労省が今月7日に発表した「インフルエンザ様疾患発生報告」(第14報)によると、 学級閉鎖学校数は216校(前週86校)と急増しています。 欠席者数3779人(前週1287人)は昨年同期の6992人より少ないものの 前週の3倍増です。江戸川区のホームページに掲載されたインフルエンザの患者数は 小児で31件、成人で5件。前週は各1件でしたからいよいよインフルエンザは シーズンに突入したということでしょうか? A群溶血性レンサ球菌咽頭炎は依然として葛西地区での増加が目立ちます。 葛西地区では直近の一医療機関当たりの報告者数は9・3人(前週5・8人)と 前週より3・5人増えています。感染性胃腸炎は江戸川区全体の一医療機関 当たりの届け出数は前週より6・6人から増えて9・9人と増えています。 水痘は小松川地区の一医療機関当たりの届け出数が2・7人と前週の0・0から 増
痛みの治療とVR(仮想現実)について
こんにちは、弘邦医院の林です。 今日の診療は平常通り、午前・午後です。 さて、本日のテーマは「痛みの治療とVR(仮想現実)」についてです。 みなさん、そろそろクリスマスプレゼントは決まりましたか? 私達の子供の頃はバットやグローブといった類でしたが、 最近はタブレットやドローンなどを欲しがるお子さんが多いそうです。 今年、注目なのはスマホにセットして使えるVRゴーグルや 本格的なヘッドセットが人気だそうです。 「ああ、ゲームに使うのだろう」と思う人もいらっしゃるでしょうが、 いまはさまざまな分野で使われようとしているそうです。 例えば、ハーバード大学では19世紀の街並みを再現したVRを製作、 当時の世界にタイムスリップさせて科学を学ばせる「VR社会見学」を 子供たちに体験させ、学習意欲を向上させることに成功しました。 このVRは医学の分野でも応用されようとしています。 例えば、VRで本番前に手術の練習をする、歯の治療を嫌がる子どもを診察台で 大人しくさせるため、VRで気をそらせ、その間に治療する、 などが日本でもすでに行われています。 VRが応用
塩分と高血圧について
こんにちは、弘邦医院の林です。 今日の診療は平常通り、午前・午後です。 さて、本日のテーマは「塩分と高血圧」です。 皆さんのなかには、「塩分を取り過ぎると血圧が高くなるからお味噌汁を控えている」という方も大勢おられるでしょう。血圧とは血管にかかる負荷のことで、血圧高くなると心臓や脳の血管が破れたり、詰まったりします。 塩気の強い食べ物を摂ると、のどが渇いて水をたくさん飲みます。これは血液中に塩に含まれるナトリウム濃度が高くなり過ぎるため、水で薄めようと脳が指令を出すためです。そうすると体のなかに取り込んだ水が血液量を増やすため血圧が高くなるというわけです。もちろん、過剰に摂った水分がナトリウムと共に尿として排出されると、ナトリウム濃度や血圧は元に戻ります。 とはいえ、同じ塩をとっても塩気を強く感じる人とそうでない人がいます。塩分を取ると誰もが血圧が高くなるというのは、本当でしょうか? 実は、塩(=塩化ナトリウム)を摂ると血圧が高くなるというのはすべての人に当てはまるわけではありません。塩の感受性が高い人は確かに血圧が高くなりますが、そうではない人
騒音について
こんにちは、弘邦医院の林です。 今日の診療は平常通り、午前・午後です。 さて、本日のテーマは「騒音」です。 健康のため食事や運動を気にしている人は多いと思いますが、騒音に囲まれた生活をしていると心筋梗塞や脳卒中といった命に関わる血管の病気のリスクが高まります。 実際、WHO(世界保健機関)はすでに、騒音公害は大気汚染に次ぐ、深刻な環境汚染だと言い、その問題点を指摘しているのです。 今年の米国心臓協会年次集会で、幹線道路沿いや空港周辺といった高い騒音レベルの地域に住んでいる人は、騒音レベルが低かった人に比べて心血管疾患の発症リスクが3倍以上に上ったと報告されました。騒音レベルが高い環境に住む人は扁桃体の活動レベルが高く、動脈の炎症レベルも高かったそうです。 なぜ、騒音があると扁桃体が活発になり、血管に負担がかかるのでしょうか? 理由のひとつは、騒音が脳の奥にある扁桃体を刺激するからです。扁桃体が刺激されると、それから逃れる準備をするために副腎から心拍数や血圧を高めるノルアドレナリンやアドレナリンといったホルモンが分泌されます。それによって心臓や血管
こむら返りについて
こんにちは、弘邦医院の林です。 今日の診療は平常通り、午前・午後です。 さて、本日のテーマは「こむら返り」です。 水泳中や激しい運動をしたときにおきるイメージがあるかもしれませんが、安静にしているときでも起きます。伸びをしたときや、就寝中、あるいはちょっとふくらはぎに力を入れたら突然激痛に襲われ、こむら返りになったという人も少なくありません。 こむら返しのこむらとはふくらはぎの筋肉のことで、こむら返りとは痛みを伴う筋肉のけいれんを指します。原因は脱水や電解質異常が考えられます。 では、こむら返りを予防するにはどうしたら良いのでしょうか? ひとつは下半身を冷やさないことです。冷やすと血のめぐりが悪くなって足がつる原因になります。夜中につると言う人は厚手の靴下などを利用したり、使い捨てカイロを使ったりするのもいいかもしれません。 牛乳、小魚などを積極的に摂ることも大切です。これらの食べ物にはカルシウムが豊富で筋肉の収縮や神経伝達に役立っています。カルシムが不足しないよう心がけましょう。 また、汗をたくさんかくと、血液が濃くなって血めぐりが悪くなる上、
感染症状況について
こんにちは、弘邦医院の林です。 今日の診療は平常通り、午前・午後です。 さて、今週も感染症状況(47週=11月26日~12月2日)からスタートです。 先週同様、インフルエンザをみてみましょう。厚労省が今月7日に発表した「インフルエンザ様疾患発生報告」によると、全国の学級閉鎖学校数は86校、昨年同期が277校でしたから今年は昨年に比べて流行が遅いと言えるかもしれません。欠席者数1287人は昨年同期の4177人よりかなり少ない数字です。江戸川区のホームページに掲載されたインフルエンザの患者数は小児で1人、成人で1人でした。A群溶血性レンサ球菌咽頭炎は葛西地区での増加が目立ちます。葛西地区では直近の一医療機関当たりの報告者数は5・8人と前週より1・0人増えています。感染性胃腸炎は江戸川区全体の一医療機関当たりの届け出数は前週より0・4人減って6・6人となりました。水痘は鹿骨・東部地区の一医療機関当たりの届け出数が0・2人と前週の1・8から減少しました。手足口病は一医療機関当たりの届け出数は0・7人で、5週前の1・7人をピークに落ち着いています。リンゴ病
悪夢について
こんにちは、弘邦医院の林です。 今日の診療は平常通り、午前・午後です。 さて、本日のテーマは悪夢です。 悪夢を見るのは日々ストレスにさらされた大人のように 思いがちですが、実は子供に多く、6~10歳がピークといわれています。 成長に伴い悪夢を見る頻度は減っていきますが、 それでも数%の人は悪夢に悩まされるといわれています。 ところが中高年になると、再び悪夢を見る人が増えてくるようです。 実際に当院を訪れる、ご高齢の患者さんのなかには「悪夢」に 悩まされる方が少なくありません。あるご婦人は、毎晩、 人に追いかけられる夢を見る、亡くなった知人が出てくる、 などとおっしゃいます。若い頃は夢など見る間もなく、 ぐっすり寝られたのに…とこぼしておられました。 なぜ、人は年を取ると悪夢を見るのでしょうか? 理由のひとつは年を取ると寝ている途中で 目が覚めることが増えるからです。 人は浅い眠りのレム睡眠と深い眠りのノンレム睡眠を 繰り返すと言われています。一般的にレム睡眠の最中に 目が覚めると夢を見ることが多くなり、悪夢を見やすくなるといわれています。 実は高