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悪夢について

こんにちは、弘邦医院の林です。

今日の診療は平常通り、午前・午後です。

さて、本日のテーマは悪夢です。

悪夢を見るのは日々ストレスにさらされた大人のように

思いがちですが、実は子供に多く、6~10歳がピークといわれています。

成長に伴い悪夢を見る頻度は減っていきますが、

それでも数%の人は悪夢に悩まされるといわれています。

ところが中高年になると、再び悪夢を見る人が増えてくるようです。

実際に当院を訪れる、ご高齢の患者さんのなかには「悪夢」に

悩まされる方が少なくありません。あるご婦人は、毎晩、

人に追いかけられる夢を見る、亡くなった知人が出てくる、

などとおっしゃいます。若い頃は夢など見る間もなく、

ぐっすり寝られたのに…とこぼしておられました。

なぜ、人は年を取ると悪夢を見るのでしょうか? 

理由のひとつは年を取ると寝ている途中で

目が覚めることが増えるからです。

人は浅い眠りのレム睡眠と深い眠りのノンレム睡眠を

繰り返すと言われています。一般的にレム睡眠の最中に

目が覚めると夢を見ることが多くなり、悪夢を見やすくなるといわれています。

 実は高齢の方はおしっこのために夜起きなければならない

夜間頻尿の人が大勢います。実際、約4500万人の人が尿のために

夜中に1回以上起きていると言われています。

年をとって悪夢を見る理由のひとつは夜間頻尿にあるのです。

 では、なぜ年を取ると夜間頻尿になるのでしょうか?

理由のひとつは年を取ると夜間に多尿になるからであり、

もうひとつの理由は少量の尿しか膀胱に貯められなくなるからです。

背景には病気があります。例えば年を重ねると糖尿病になる人が

増えてきます。糖尿病になると、血管内のブドウ糖濃度を薄めるために

血管の外の細胞から水分を奪うなどして血管内の水分量を増やします。

そうなると増加した血管内の水分を排泄するために多尿となるのです。

ほかに高血圧やうっ血性心不全、腎機能の低下、睡眠時無呼吸症候群などに

なる人も多くなるますが、こうした病気も多尿を引き起こす原因となっています。

一方、過活動膀胱、前立腺炎、膀胱炎などは膀胱が過敏になって少しでも

膀胱に尿が溜まるとすぐに排尿することが知られています。

こちらも中高年に多い病気です。結果的に中高年は排尿のために

夜起きることが増えて、悪夢を見やすくなるというわけです。

また、持病の薬が悪夢を見せることもあります。

代表は降圧薬(βブロッカー)、パーキンソン病の治療薬(L-ドーパ)、

認知症治療薬(アセチルコリンエステラーゼ阻害薬)、

抗うつ薬、抗ヒスタミン薬などです。

場合によっては悪夢を減らしたり、なくしたりすることも可能です。

心当たりの人は一度かかりつけの医師に相談すると良いかもしれません。

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