新型コロナに低線量放射線療法が効く!?

20世紀初頭の放射線治療法に注目

=スペインの研究チームが論文発表=

 こんにちは、弘邦医院院長の林雅之です。今回のテーマは「新型コロナに対する低線量放射線療法」です。専門過ぎてなんのこっちゃ、わからん、そういわれそうですが、お話ししましょう。要は薬でなく、放射線治療で重度の新型コロナ肺炎の患者さんを救おうという試みです。

現在、新型コロナの治療薬はなく、世界中でさまざまな薬剤が試されています。しかし、決定的な薬は見つかっていません。そんななか、多くの死者を出しているスペインの治療チームから、放射線を使った、古くて新しい治療法が提案されているのです。抗生物質が発見される前の20世紀初頭では肺炎治療にこの治療法が使われていました。肺炎は肺に吸い込んだ酸素と血液中の二酸化炭素をガス交換する場である、肺胞に炎症が起きる病気です。その原因となる、リンパ球をターゲットにして放射線をかけることで重篤な肺炎患者に見られる、サイトカインストームを阻止しようとする治療法です。その後抗生物質の発見で、この治療法は廃れてしまいましたが、新型コロナウイルスによる重度の肺炎が急激なサイトカインストームから発生し、それが致命傷になるのであれば、低線量放射線療法で治療するのは有効ではないのか、というわけです。

 実際、新型コロナウイルスの治療薬の中には、サイトカインストームの原因物質であるインターロイキン6を始めたとした炎症物質を抑え込む薬剤が有力視されています。ならば、市中病院にも豊富な放射線治療装置を使うことで、重度の新型コロナ肺炎患者さんの治療を行う方が、薬の承認を待つより良いのではないか、というわけです。

 もちろん、こうした考え方に対しては「現実的ではない」という意見もあります。第一に新型コロナ肺炎が急速に進む原因が本当にサイトカインストームなのか、という問題です。5月に入って、世界各国から新型コロナ感染症の患者の多くに、全身の血栓症が見られることが報告されています。新型コロナウイルス感染症が報じられた当初の患者さんは呼吸器障害が主な症状と考えられてきましたが、実際は脳梗塞や心筋梗塞、肺塞栓症、敗血症などの症状が見られることがわかっています。肺炎の治療でいいのか、というわけです。

 第二に低線量とはいえ胸部に放射線を照射すれば免疫組織に悪影響を及ぼすのではないか、という懸念です。低線量放射線療法は0・5グレイで安全と言われる線量ですが、放射性肺炎と呼ばれる病気への懸念があります。胸に放射線を照射することで肺炎を発症することがあるからです。(研究チームは2グレイ以上照射しなければ問題なしと主張しています)

 第三に低線量放射線治療を行える医療機関は少なく、決して手軽に行えるわけではないということも問題でしょう。

 しかし、急速に悪化する新型コロナ肺炎の患者さんに施すべき薬剤が見つかれない以上、救命のために低線量放射線療法を試みるのはむしろ人道的ではないか、というのがスペインの研究チームの考えのようです。日本では世界的見て重症化率が低いため、課題の多いこの低線量放射線療法を行う必要はないでしょうが、薬のないいま、海外では検討されるかもしれません。

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