新型コロナ肺炎は両肺が同時に炎症を起こすのはなぜ?
こんにちは、弘邦医院院長の林です。さて、今回の話題は「新型コロナはなぜ両肺に炎症が起きるのか?」です。ご存知の方もおられるかもしれませんが、新型コロナが起こす肺炎は両肺が同時に炎症を起こします。なぜでしょうか? 新型コロナはSARS(重症急性呼吸器症候群)と遺伝子の8割が同じ親戚関係にあります。実はこのSARSには肺の空気の通り道である気管支の表面にある細胞にダメージを与えることがわかっています。その細胞とはひとつは粘液を作る細胞で、もうひとつは線毛を持つ細胞です。粘液は、肺を病原体から守りつつ、乾燥を防ぐ働きがあります。繊毛は、体の外から侵入してきた病原体やごみを取り込んだ粘液を押し出して、体外に排出する働きがあるのです。SARSはこの線毛のある細胞に感染して死滅させる働きがあるという説があります。同じことが新型コロナでも起こるとしたらどうでしょうか。ウイルスは易々と肺の奥に侵入して両方の肺に炎症を起こすことになるのです。