口舌ジスキネジアについて
- 院長
- 2018年12月5日
- 読了時間: 2分
こんにちは、弘邦医院の林です。
今日の診療は平常通り、午前・午後です。
さて、本日のテーマは「口舌ジスキネジア」です。
始めてお聞きになる方も多いことと思います。
ジスキネジアとは自分の意志とは無関係に身体の
どこかが勝手に動いてしまう付随運動の総称です。
「口舌ジスキネジア」は、そのなかでも口周囲の顔面筋、
舌筋、咀嚼そしゃく筋に、持続して同じ動きを繰り返す不随意運動のことです。
症状は口をもぐもぐさせる、舌を出したり引っ込めたりする、
歯を食いしばるなどがあります。その結果、歯を摩耗させたり、
入れ歯を傷つけたり、口に痛みを感じたりします。なかには舌を動かさないよう
歯に押しつけるため、舌先に痛みを訴えられる患者さんもおられます。
ただ、おしゃべりしたり、食べ物を噛んだり飲み込んだりすることに
支障を感じることは多くはないようです。そのせいか、
単なる高齢者特有動作と考えられがちです。
その原因はさまざまですが、とくにこうした症状を起こしているひとのなかには
薬を飲んでいる患者さんに多く、抗うつ剤や睡眠薬、パーキンソン病治療薬などで
起こることが多いと言われています。抗うつ剤や睡眠薬が原因の場合、
飲み始めてかなり時間が経ってからか、飲むのを止めた後に症状が表れるため、
遅発性ジスキネジアと呼ばれています。
薬以外では中枢性のものもあり、統合失調症、アルツハイマー病、認知症、
自閉症などさまざまな病態が引き金になるといわれていますが、
ラクナ梗塞もそのひとつです。
ラクナ梗塞は、日本人の脳梗塞の半分を占めるもので、脳の深い部分の
細い動脈が詰まる脳梗塞です。症状を起こさないことも多く、
無症候性脳梗塞とも呼ばれます。中高年の患者さんの脳を
MRI(磁気共鳴画像装置)で写すと複数のラクナ梗塞が見られます。
薬剤性の口舌ジスキネジアでパーキンソン病が伴う場合は、
薬を減らすことで症状が軽減します。遅発性では、
量を減らしても症状はなかなか軽減しません。
原因がパーキンソン病以外の場合、神経伝達物質「ドーパミン」の
働きを抑える薬を服用すると症状がかなり軽減します。
また、中枢性のものなら、循環器や脳神経の専門医に相談すると良いでしょう。
Comments