top of page

食事に伴う汗について

こんにちは、弘邦医院の林です。

今日の診療は平常通り、午前・午後です。

本日のテーマは食事に伴う汗です。

 激辛のカレーやラーメンを食べると顔や頭の中、

唇の上や鼻の頭などに汗をかきます。なかには、

汗の量が異常に多く、普通に食事をしただけでも

滝のような大量の汗を滴らせる人もおられます。

普通、こうした汗は、辛味成分が原因です。辛子の主成分は

カプサイシンという物質です。これを含んだ食べ物を口にすると

口腔内にある高温に反応する温度センサーが刺激され、

その信号が神経回路を介して痛みと熱の感覚を脳に伝えます。

ところが、その途中で脳の体温調整中枢から顔の汗腺に

下向する発汗神経を刺激して、反射的に顔に汗が出るのです。

激辛ラーメンのスープを飲むと汗の量が一層多く出るのは、

カプサイシンの「痛み」とスープの「熱」がダブルで

高温センサーを刺激するからです。

そもそもこのシステムは口腔内を極端な高温などから

守るためのものですが、頭をスッキリさせる作用があります。

顔や頭に汗をかくことで、汗をかいた部分の皮膚が冷却され、

冷えた血液が脳に流れ込みます。その結果、脳がスッキリするのです。

もちろん、食事をすると、体内での熱産生量が増えるため辛味成分が

なくても汗をかきます。とくに栄養素の中ではタンパク質が最も

多く熱産生を行うため肉を食べると汗をかきやすいのです。

こうした汗は誰にでも起こる生理現象のひとつですが、

その程度がひどい人は味覚性多汗症という病気かもしれません。

味覚の刺激が過度に働くため、通常の味覚性発汗に比べて

異常なほど分泌されるのです。

 この味覚性多汗症を引き起こす病気として知られているのが

「Frey症候群」です。耳の前下方にある耳下腺には唾液を分泌させる

耳介側頭神経と、顔を動かす顔面神経が走っています。

そこにできる腫瘍などを手術をしたときに、

耳介側頭神経が損傷し、その後、誤った経路で神経が再生され、

数年後に味覚性多汗を発症してしまう場合があるのです。

 ほかにも糖尿病が進行した人は食事をすると汗が大量に

出る場合があります。食事をすると汗を大量にかくという人は

病気が隠れている場合があることも覚えておいた方がいいかもしれません。

お知らせ
bottom of page