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空腹時血糖と食後高血糖を同時に解消する注射薬

こんにちは、弘邦医院院長の林雅之です。今回のテーマは、糖尿病の新しい注射薬・ランタスについてです。皆さんもご存知の通り、糖尿病が怖いのは血糖値が高くなるからではありません。高くなることで、失明につながる糖尿病性網膜症や心筋梗塞・脳梗塞など、重大な合併症を起こすからです。そのためこれまでは通常(空腹時)の血糖値を下げる薬が開発されてきました。ところが、近年、薬で空腹時血糖は抑えられても、食事をした直後に血糖値が跳ね上がる、食後高血糖を抑えられない人がいることがわかり、その対策が急がれてきたのです。

 健康な人は食事をしても血糖値はそれほど大きくは上がりません。しかし、食後高血糖の人は、食事をしてから1時間くらいしてから血糖値が急激に上がることで血管内皮にダメージを与えることがわかっています。その結果、脳の血管が破れて出血する脳出血や濃厚そう、心筋梗塞、がんなどの発症リスクが高まるといわれています。

 食後1時間後に140mg/dlを超えると血糖値スパイクといい、この値が180を超えると心臓病で亡くなる確率が高いことが明らかになっています。

 では、なぜ血糖値スパイクがおきるのでしょうか?それは血液中に流れる糖分を細胞に取り込むためのインスリンの分泌能力が衰えるからです。そのため、糖尿病の人はインスリンを分泌する膵臓の働きを良くする錠剤を飲んだり、それでもインスリンが不足していれば人工のインスリンを注射して不足分を補うようにしています。

 今回発売された新たな注射薬は主に空腹時血糖をコントロールするグラルギンという成分と主に食後血糖をコントロールするリキシセナチドという成分を、日本の2型糖尿病患者さんの病態に合うように、日本独自の比率で配合したものです。

 糖尿病の患者さんで糖尿病の薬は飲んでいるけれど、食後になると妙に体調が悪いという方は医師にこの薬のことを聞いてみるのもいいかもしれません。

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