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口舌ジスキネジアについて

こんにちは、弘邦医院の林です。

今日の診療は平常通り、午前・午後です。

さて、本日のテーマは「口舌ジスキネジア」です。

始めてお聞きになる方も多いことと思います。

ジスキネジアとは自分の意志とは無関係に身体の

どこかが勝手に動いてしまう付随運動の総称です。

「口舌ジスキネジア」は、そのなかでも口周囲の顔面筋、

舌筋、咀嚼そしゃく筋に、持続して同じ動きを繰り返す不随意運動のことです。

症状は口をもぐもぐさせる、舌を出したり引っ込めたりする、

歯を食いしばるなどがあります。その結果、歯を摩耗させたり、

入れ歯を傷つけたり、口に痛みを感じたりします。なかには舌を動かさないよう

歯に押しつけるため、舌先に痛みを訴えられる患者さんもおられます。

ただ、おしゃべりしたり、食べ物を噛んだり飲み込んだりすることに

支障を感じることは多くはないようです。そのせいか、

単なる高齢者特有動作と考えられがちです。

 その原因はさまざまですが、とくにこうした症状を起こしているひとのなかには

薬を飲んでいる患者さんに多く、抗うつ剤や睡眠薬、パーキンソン病治療薬などで

起こることが多いと言われています。抗うつ剤や睡眠薬が原因の場合、

飲み始めてかなり時間が経ってからか、飲むのを止めた後に症状が表れるため、

遅発性ジスキネジアと呼ばれています。

 薬以外では中枢性のものもあり、統合失調症、アルツハイマー病、認知症、

自閉症などさまざまな病態が引き金になるといわれていますが、

ラクナ梗塞もそのひとつです。

 ラクナ梗塞は、日本人の脳梗塞の半分を占めるもので、脳の深い部分の

細い動脈が詰まる脳梗塞です。症状を起こさないことも多く、

無症候性脳梗塞とも呼ばれます。中高年の患者さんの脳を

MRI(磁気共鳴画像装置)で写すと複数のラクナ梗塞が見られます。

薬剤性の口舌ジスキネジアでパーキンソン病が伴う場合は、

薬を減らすことで症状が軽減します。遅発性では、

量を減らしても症状はなかなか軽減しません。

原因がパーキンソン病以外の場合、神経伝達物質「ドーパミン」の

働きを抑える薬を服用すると症状がかなり軽減します。

 また、中枢性のものなら、循環器や脳神経の専門医に相談すると良いでしょう。

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